脳神経外科センター
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パーキンソン病・本態性振戦の手術

脳深部電気刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)
当院では2010年5月に県内で初めて脳深部電気刺激療法の手術システムを導入いたしました。
この治療はレクセル定位脳手術装置を使用し行います。この定位手術装置はガンマナイフでも同様に使用するもので、治療計画の方法も同様で多数の使用経験があります。

1.脳深部電気刺激療法とは
定位手術により脳深部へ電極を留置させ(図1)、電気刺激により過剰となった抑制を減じ、神経興奮のバランスを回復させ、症状の改善を促します(図2)
症状を改善するためのもので、病気そのものを治す根治的治療ではありません。

図1 図2
【刺激前】
【刺激後】
2.DBS治療の適応
薬物治療ではコントロールできない状態、あるいは薬物に伴う副作用がつよく、使用困難になった状態で、
刺激による効果が期待される場合に適応します。
    【治療適応となる疾患】
  • パーキンソン病(もっとも適応となることが多い)
  • 本態性振戦、ジストニアなどの不随意運動


3.DBS治療の流れ
@フレーム装着 AMRI撮影
Bターゲット設定
C電極挿入と微小電極記録
D電極設置 Eジェネレーター設置
4.術後管理≒刺激の調整と薬剤調整
内服薬を減量しながら、その都度、電気刺激の微調整を行い最適な条件を決定します。
外来では症状の変化に合わせ電気刺激の調整を行います。患者さん自身での刺激調整もリモコンにて可能です。
患者さん自身での調整 医師が使用するプログラマー


5.治療の合併症・副作用
  • 【手術関連の合併症】
       →
    脳内出血、感染など
  • 【刺激に伴う副作用】
       →
    幻覚など一過性の精神症状
         ジスキネジア(一過性)など
  • 【治療器機に関連するもの】
       →
    感染、断線などの故障
パーキンソン病
1.症状の出現する原因
脳の深部(中脳)にある黒質でのドパミンと言う神経伝達物質を作る神経細胞が減少するために生じる病気です。ドパミン神経は体の動きを円滑に行うために必要ですが、その減少により脳の調整機構がうまくいかなくなり症状が出ます。症状の軽いパーキンソン病の初期には内服薬でこれら症状を軽減することができますが、病状が進行すると神経細胞の減少が進み内服薬だけでは症状を軽減することができなくなります。この際には内服薬以外の治療が必要になりますが、その一つが脳深部刺激療法です。

2.代表的な症状
  • 【ふるえ(振戦)】:じっとしている時(安静時)に指先で丸薬を丸めるような、比較的ゆっくりとしたもの。左右どちらかの手か足から始まることが多い。
  • 【筋肉のこわばり (固縮)】:筋肉が固くなって、動作がスムーズにできない。手足の曲げ伸ばしがうまくいかず、他の人が動かそうとすると”がくがく”とした抵抗がある。首が回しにくい。
  • 【動作緩慢(無動・寡動)】:動きが少なくなり、全てがゆっくりとなる。足が出にくく歩きにくい。表情が乏しくなり、声が小さく抑揚がない。
  • 【姿勢反射障害】:体勢が崩れそうになっても倒れないようにする反射が障害される。少し押されてもすぐ倒れる。止まろうと思っても止まれず転ぶ。
3.手術を選択する時期
  • 【薬の副作用のために薬を減量しなければならないとき】
       →
    視床下核の刺激により症状の改善に加え、内服薬の量を減量することができます
  • 【日常生活が著しく不自由になってきたとき】
       →
    オフ期(薬の効果がなく症状が強くなる時期)の症状を改善することで生活の質を改善します
  • 【ウェアリング・オフ現象オン・オフが顕著になったとき】
       →
    症状の変動が激しく、内服薬でのコントロールが難しい場合に、オフ症状を軽減し、
         良い良い状態を維持する


  •    ※ウェアリング・オフとは、薬の効果が時間と共に薄れるため出現する事
         オン・オフとは、内服の時間とは関係なく薬効が出たり、消えたりする事
4.手術によって期待される効果
内服のコントロールが困難 内服での症状の変動が激しく、ジスキネジアとオフの時間が長い
深部刺激療法後 刺激開始により内服の回数も減少し、ジスキネジアは消失し、”底上げ効果”によりオフ時の悪化が消失し、ほぼ良い状態が維持される
5.手術の合併症と深部刺激による副作用
合併症 の頻度につきましては、安全性と有効性は確立されていますが、合併症が1〜2%でみられます。
  • 【脳内出血】:大きな出血となった場合には後遺症が出ることがあります。
  • 【感染】:体内に入った異物の周囲に局所の感染が生じることがあります。
          抗生剤でも治りにくい場合には植え込んだ電極などの抜去が必要となることがあります。
  • 【破損】:器機の破損は再手術で交換が必要になります。
また 副作用 につきましては、幻覚などの精神症状が出現したり、一時的なジスキネジアなど症状の悪化を生じることがあります。
多くは刺激条件の調整にて、改善することができます。
本態性振戦
1.本態性振戦とは
  • 不随意に生じる振戦で身体のどの部分にでも出現するが、特に手に出現しやすい
  • 宙に浮かした状態で手をじっとしようとすると誘発され、また動作時にも出現しやすい
    (書痙:書字で顕著となる)
  • 家族歴があることが少なくない
  • 精神的緊張によって増強することが多い
  • 軽度の振戦は頻度も多く(パーキンソン病の20倍) 、進行しにくい
  • 種々の薬剤治療がある

2.本態性振戦の診断
必須項目
両側性
前腕から手を含む体位性あるいは動作性の振戦
振戦は持続性で視認できるもの
除外項目
他の神経症状がある
既往症あるいは臨床症状より心因性振戦の可能性が高い
突然発症あるいは急速に進行する振戦
起立性で下肢に出現する起立時振戦
発声のみ、舌や顎のみ、下肢のみの振戦
3.本態性振戦の治療
  • 【内服治療】
       →
    プロプラノロールなどβブロッカー
         マイソリンなどの各種抗てんかん薬
         ベンゾジアゼピンなど抗不安薬
  • 【生活習慣の調整】
       →
    カフェインの減量や緊張の緩和
  • 【ボツリヌス局所投与】
  • 【手術】
       →
    種々の生活環境改善、各種薬剤による治療の効果が充分得られず、
         生活に支障を生じる、強い振戦の場合に手術(視床の脳深部刺激療法)を行う
4.本態性振戦の脳深部刺激療法
  • 破壊術と比べ刺激療法の【利点、欠点】
        利点:@侵襲が少なく可逆性で両側性に施行でき、A調節可能である
        欠点:刺激器機を埋設+電池交換が必要
  • 刺激部位は視床Vim核。刺激直後より振戦は軽減することが多い
  • パーキンソン病と比べ進行は通常遅いため、刺激療法の効果も長期間期待できる
  • 治療の副作用として、刺激療法全般に伴うもの以外に感覚異常、構音障害などあるが、
    調節によって軽減可能
  • 軽度の振戦は頻度も多く(パーキンソン病の20倍) 、進行しにくい
私たちが治療します。
鈴木文夫
1982 滋賀医科大学 脳神経外科
1989 洛西シミズ病院 脳神経外科
1991 滋賀医科大学 脳神経外科
1992 アンリモンドール病院(フランス)留学
1994 滋賀医科大学 脳神経外科
1999 ストラスブルグ大学 (フランス) 客員教授
2004 Kalorinska University(スウェーデン)
2010 湖東記念病院 脳神経外科
平井久雄
1991 滋賀医科大学 脳神経外科
1992 長浜日赤病院 脳神経外科
1995 洛西シミズ病院 脳神経外科
1999 日野記念病院 脳神経外科
2001 湖東記念病院 脳神経外科
2004 Kalorinska University (スウェーデン)研修


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